G検定 · LESSON 1
人工知能とは・人工知能をめぐる動向11%(当サイト設定) · 6項目
人工知能の定義、人工知能の分野の主要な問題、探索・推論、知識表現とエキスパートシステム、機械学習、ディープラーニングの流れを学びます。
1.1人工知能の定義
人工知能の定義(AI のレベル分け、AI 効果、人工知能とロボットの違い)
概念
人工知能の定義は研究者によって異なり、統一された定義はありません。AI のレベル分けでは、レベル 1(単純な制御プログラム)、レベル 2(古典的な人工知能:探索・推論・知識の利用)、レベル 3(機械学習を取り入れた AI)、レベル 4(ディープラーニングで特徴量を自ら学ぶ AI)と整理されます。AI 効果は、ある技術が実現されて仕組みが分かると「それは知能ではない」と見なされる現象です。ロボットは身体を持つ機械で、AI はその「考える」部分の研究です。
仕組み・手順
- レベル 1〜4 の違いを「何を自分で学ぶか」で整理する
- AI 効果の例(かつての「AI」が普通の技術と見なされる)を挙げる
- ロボット工学と AI の研究の対象の違いを区別する
業務での例
エアコンの温度の自動調整はレベル 1、将棋の探索のプログラムはレベル 2、画像から特徴を自ら学ぶ画像認識はレベル 4 に当たる。
紛らわしい点・試験の注意
- 人工知能の定義は専門家の間でも一つに定まっていない
- レベル 3 は特徴量を人が設計、レベル 4 は特徴量そのものを学習
- AI 効果は技術の評価が下がる心理的な現象で、技術の後退ではない
ミニクイズ
Q1. 人工知能のレベル分け(4 段階)で考える。人が設計した特徴量(単語の出現回数など)を使い、データから迷惑メールの判定の規則を学ぶ仕組みは、どのレベルに当たるか。
- ディープラーニングを取り入れた人工知能
- 機械学習を取り入れた人工知能
- 単純な制御プログラム
- 古典的な人工知能
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正解:B 機械学習を取り入れた人工知能
サンプルデータから入力と出力の関係を学ぶのがレベル 3。特徴量は人が設計する。(判断の分かれ目:データから学習するが、特徴量は人が設計している)
Q2. 人工知能のレベル分け(4 段階)で考える。画像から判定に役立つ特徴量そのものもデータから学習して、写真の物体を見分ける仕組みは、どのレベルに当たるか。
- 古典的な人工知能
- 機械学習を取り入れた人工知能
- ディープラーニングを取り入れた人工知能
- 単純な制御プログラム
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正解:C ディープラーニングを取り入れた人工知能
特徴量(特徴表現)も自動で学習するのがレベル 4 のディープラーニング。(判断の分かれ目:特徴量の設計まで学習に任せている)
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1.2人工知能の分野で議論される問題
人工知能分野で議論される問題(チューリングテスト、中国語の部屋、フレーム問題、シンボルグラウンディング問題、シンギュラリティ)
概念
チューリングテストは、会話の相手が機械か人間かを判別できなければ機械に知能があるとみなすテストです。中国語の部屋(サール)は、記号の操作だけでは「理解」とは言えないとする思考実験で、強い AI への反論です。フレーム問題は、ある作業に関係のあることだけを選び出すことの難しさ、シンボルグラウンディング問題は、記号(言葉)とその意味する実世界の対象を結び付けられるかという問題です。シンギュラリティは AI が人類の知能を超える転換点で、カーツワイルは 2045 年と予測しました。
仕組み・手順
- 各問題の提唱者と主張の要点を対応させる
- 「理解」をめぐる議論(中国語の部屋)と「選択」の問題(フレーム問題)を区別する
- シンボルグラウンディングは身体性の議論と結び付けて理解する
業務での例
掃除ロボットが「部屋を片付ける」ときに、無数の起こりうる事柄から関係のあることだけを考える難しさは、フレーム問題の例である。
紛らわしい点・試験の注意
- 中国語の部屋はサール、チューリングテストはチューリング
- フレーム問題はマッカーシーとヘイズが提起
- ローブナー賞はチューリングテストに基づく会話のコンテスト
ミニクイズ
Q1. 人工知能の議論で扱われる問題を考える。中国語を知らない人が、規則の本に従って記号を並べ替えて完璧な返事をしても、意味を理解しているとは言えないとする思考実験はこの問題を何と呼ぶか。
- フレーム問題
- シンボルグラウンディング問題
- 知識獲得のボトルネック
- 中国語の部屋
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正解:D 中国語の部屋
中国語の部屋(サール)は、チューリングテストに合格しても理解しているとは限らないと主張した。(判断の分かれ目:規則どおりの記号操作と理解の違いを問う思考実験)
Q2. 人工知能の議論で扱われる問題を考える。専門家の知識を聞き取ってルールにする作業に手間がかかり、暗黙知も多いためエキスパートシステムが広がらなかったというこの問題を何と呼ぶか。
- フレーム問題
- 知識獲得のボトルネック
- シンボルグラウンディング問題
- 中国語の部屋
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正解:B 知識獲得のボトルネック
知識獲得のボトルネックは、専門家の知識をコンピュータに入れる作業の困難さ。第二次ブームが終わる一因となった。(判断の分かれ目:知識をルールとして取り出す作業の限界)
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1.3探索・推論
探索・推論(探索木、幅優先・深さ優先探索、Mini-Max 法、αβ 法、モンテカルロ法、STRIPS、SHRDLU)
概念
探索は、状態を木構造(探索木)で表して解を探す方法です。幅優先探索は浅い順に調べ、最短の解を見つけられますがメモリを多く使います。深さ優先探索は一つの枝を深く調べ、メモリは少ないですが最短とは限りません。ゲームでは、Mini-Max 法(自分の得点を最大、相手の得点を最小にする手を選ぶ)と、不要な枝を刈る αβ 法を使います。モンテカルロ法は、ランダムに最後までプレイ(プレイアウト)して手の良さを評価します。STRIPS は行動の計画(プランニング)の手法、SHRDLU は積み木の世界を自然言語で操作するシステムです。
仕組み・手順
- 幅優先と深さ優先のメモリと最短性の違いを整理する
- αβ 法のαカット・βカットの意味を確認する
- モンテカルロ法がなぜ囲碁で有効だったかを理解する
業務での例
迷路の最短経路を探すには幅優先探索、メモリが限られる場合は深さ優先探索を選ぶ。
紛らわしい点・試験の注意
- αβ 法は Mini-Max 法と同じ結果を、より少ない探索で得る
- モンテカルロ法は評価関数を人が設計しにくい囲碁などで有効
- SHRDLU はウィノグラードが開発
ミニクイズ
Q1. 探索の手法を選んでいる。ゲームの探索木で Mini-Max 法を使っており、評価する必要のない枝を刈って計算を減らしたい。最も適した手法はどれか。
- 深さ優先探索
- αβ 法
- モンテカルロ法
- 幅優先探索
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正解:B αβ 法
αβ 法は Mini-Max 法の結果を変えずに、評価が不要な枝(αカット・βカット)を省いて探索を効率化する。(判断の分かれ目:Mini-Max 法の不要な枝の刈り込み)
Q2. IBM のワトソン(Watson)についての説明として最も適切なものはどれか。
- 日本の大学の入学試験の突破を目標に開発された、日本の研究プロジェクトの AI
- 米国のクイズ番組で人間のチャンピオンに勝利した質問応答のシステム
- 囲碁でプロ棋士に勝利した、ディープラーニングと強化学習を組み合わせたシステム
- チェスで世界王者に勝利した、専用のハードウェアで探索を行うシステム
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正解:B 米国のクイズ番組で人間のチャンピオンに勝利した質問応答のシステム
ワトソンは 2011 年にクイズ番組「ジョパディ!」で勝利した。【他の選択肢】囲碁は AlphaGo、大学入試は東ロボくん、チェスは Deep Blue。
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1.4知識表現とエキスパートシステム
知識表現とエキスパートシステム(意味ネットワーク、オントロジー、MYCIN、DENDRAL、Cyc、ワトソン)
概念
知識表現は、知識をコンピュータで扱える形にすることです。意味ネットワークは概念をノード、関係(is-a:上位下位、part-of:全体と部分)をリンクで表します。オントロジーは概念と関係の体系的な定義で、人が厳密に定義するヘビーウェイトと、データから自動で作るライトウェイトがあります。エキスパートシステムは専門家の知識をルールにしたもので、MYCIN(血液の感染症の診断)、DENDRAL(化学の構造の推定)が有名です。Cyc は一般常識をすべて記述しようとする計画、IBM のワトソンはクイズ番組で人間に勝った質問応答のシステムです。
仕組み・手順
- is-a と part-of の関係の性質(推移律)を確認する
- エキスパートシステムの限界(知識獲得のボトルネック)を理解する
- 各システムの用途を対応させる
業務での例
「犬 is-a 哺乳類」「哺乳類 is-a 動物」から「犬 is-a 動物」を導くのは、意味ネットワークでの推論の例である。
紛らわしい点・試験の注意
- MYCIN は感染症、DENDRAL は化学(未知の有機化合物の特定)
- 知識獲得のボトルネックは、専門家の知識を引き出して書き表す難しさ
- ワトソンはライトウェイトオントロジーの活用の例とされる
ミニクイズ
Q1. 「前提条件・行動・結果」の組で行動を記述し、初期の状態から目標の状態までの行動の列を求める、初期の自動計画(プランニング)の手法はどれか。
- STRIPS
- Cyc プロジェクト
- MYCIN
- SHRDLU
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正解:A STRIPS
STRIPS はプランニング(自動計画)の手法。【他の選択肢】積み木の世界は SHRDLU、感染症の診断は MYCIN、一般常識の記述は Cyc プロジェクト。 【他の選択肢】SHRDLU は積み木の世界を自然言語で操作するシステム、MYCIN は感染症の診断のエキスパートシステム、Cyc は一般常識を記述する長期のプロジェクト。
Q2. オントロジーの研究で、「軽量オントロジー」の考え方として最も適切なものはどれか。
- オントロジーの知識の量を減らし、記憶装置の容量を節約することを最も重視する考え方
- 知識を一切使わず、データの統計だけから予測のモデルを作るのが望ましいとする考え方
- 正確さにこだわらず、データの解析で概念の関係を自動的に見つける考え方
- 哲学的な考察を重ね、概念の関係を人が厳密に定義して、正しい知識の体系を作る考え方
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正解:C 正確さにこだわらず、データの解析で概念の関係を自動的に見つける考え方
軽量オントロジーはウェブマイニングなどで自動的に関係を見つける考え方。人が厳密に定義するのは重量オントロジー。
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1.5機械学習
機械学習(ビッグデータ、次元の呪い、統計的自然言語処理)
概念
機械学習はデータからパターンを学ぶ方法で、インターネットの普及で得られた大量のデータ(ビッグデータ)によって発展しました。次元の呪いは、特徴量(次元)が増えると、必要なデータ量や計算量が急激に増え、学習が難しくなる問題です。統計的自然言語処理は、大量の文章のデータ(コーパス)から確率的に言語を処理する方法で、機械翻訳などを大きく改善しました。
仕組み・手順
- 機械学習の発展の要因(データ・計算資源)を整理する
- 次元の呪いへの対策(次元削減・特徴量の選択)を確認する
- ルールベースの翻訳と統計的な翻訳の違いを理解する
業務での例
機械翻訳は、文法のルールを書く方式から、大量の対訳のデータから学ぶ統計的な方式、さらにニューラル機械翻訳へと進化した。
紛らわしい点・試験の注意
- 次元の呪いは「次元が増えるとデータが疎になる」問題
- 特徴量を増やせば常に精度が上がるわけではない
- 統計的自然言語処理は単語の意味を理解しているわけではない
ミニクイズ
Q1. 機械学習が第三次 AI ブームで注目されるようになった背景として最も適切なものはどれか。
- 機械学習が、少ないデータでも必ず正しい答えを出せることが理論で証明されたため
- 専門家の知識をルールとして集める作業が、自動で行えるようになったため
- インターネットの普及でビッグデータが手に入るようになり、計算機の性能も向上したため
- 探索木の枝をすべて調べる計算が、どのような問題でも短時間でできるようになったため
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正解:C インターネットの普及でビッグデータが手に入るようになり、計算機の性能も向上したため
データ量と計算資源の増加が、データから学ぶ機械学習・ディープラーニングを実用的にした。
Q2. 「次元の呪い」の説明として最も適切なものはどれか。
- 特徴量の次元が増えるほど、学習に必要なデータの量が急激に増え、性能を上げにくくなる現象
- 層を深くするほど、出力に近い層から勾配が小さくなり、入力に近い層が学習しなくなる現象
- 訓練データに合わせすぎて、未知のデータに対する予測の精度が下がってしまう現象
- 新しいタスクを学習すると、以前に学習したタスクの知識が失われてしまう現象
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正解:A 特徴量の次元が増えるほど、学習に必要なデータの量が急激に増え、性能を上げにくくなる現象
次元が増えるとデータが空間内で疎になり、必要なデータ量が指数的に増える。対策は次元削減や特徴選択。【他の選択肢】順に勾配消失、過学習、破滅的忘却。
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1.6ディープラーニング
ディープラーニング(ILSVRC、AlexNet、AlphaGo、生成 AI)
概念
2012 年の画像認識の競技会 ILSVRC で、トロント大学のヒントンらの AlexNet(ディープラーニング)が従来の手法を大きく上回る精度で優勝し、第三次 AI ブームのきっかけになりました。2016 年には DeepMind の AlphaGo が囲碁でトップ棋士に勝利しました。その後、Transformer をもとにした大規模言語モデルや画像生成などの生成 AI が急速に発展しています。
仕組み・手順
- ディープラーニングが特徴量を自ら学ぶ点を理解する
- 画期となった出来事を年と組み合わせて覚える
- 生成 AI につながる技術の流れ(Transformer)を押さえる
業務での例
研修で、2012 年の AlexNet の成功から現在の生成 AI までの流れを、画像認識・ゲーム・言語の順に説明する。
紛らわしい点・試験の注意
- AlexNet が優勝したのは ILSVRC 2012
- AlphaGo は深層学習と強化学習とモンテカルロ木探索を組み合わせた
- ディープラーニングの考え方自体は古くからあり、計算資源とデータで実用化した
ミニクイズ
Q1. 統計的機械翻訳とルールベース機械翻訳の違いの説明として最も適切なものはどれか。
- 統計的機械翻訳は人が書いた文法の規則で訳し、ルールベースは大量の対訳データから訳を学ぶ
- 統計的機械翻訳はディープラーニングの一種で、ルールベースはその改良版の新しい方式である
- 統計的機械翻訳は対訳データから確率的に訳を選び、ルールベースは人が書いた規則で訳す
- 統計的機械翻訳は音声の翻訳に限った方式で、ルールベースは文章の翻訳に限った方式である
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正解:C 統計的機械翻訳は対訳データから確率的に訳を選び、ルールベースは人が書いた規則で訳す
1990 年代以降、対訳コーパスを使う統計的機械翻訳が主流となり、その後ニューラル機械翻訳に移った。
Q2. 人工知能をめぐる議論について述べたもののうち、適切でないものはどれか。
- ダートマス会議(1956 年)で、ディープラーニングという言葉が初めて使われた
- 身体性の議論では、知能の成立には体を通じた外界との相互作用が重要だと考える
- ローブナーコンテストは、チューリングテストに基づいて会話プログラムを競う大会である
- ダートマス会議で、人工知能(Artificial Intelligence)という言葉が初めて使われた
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正解:A ダートマス会議(1956 年)で、ディープラーニングという言葉が初めて使われた
ダートマス会議ではジョン・マッカーシーが「人工知能」という言葉を使った。ディープラーニングの語が広まったのは 2000 年代以降。
参考リンク
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