GAIL · LESSON 1

セクション1:生成 AI の基礎約30% · 6項目

生成 AI の主要な概念、機械学習の手法とライフサイクル、基盤モデルの選び方、データの種類と品質、生成 AI の層、Google の基盤モデルを学びます。

1.1生成 AI の主要な概念

生成 AI の主要な概念(AI・自然言語処理・機械学習・生成 AI・基盤モデル・マルチモーダル・拡散モデル・LLM・プロンプトエンジニアリング・プロンプトチューニング)

概念

AI は人の知的な作業を機械で行う技術の総称で、機械学習はデータから学ぶ AI、自然言語処理は人の言葉を扱う分野です。生成 AI は新しいテキスト・画像・コードなどを作る AI で、基盤モデルは大量のデータで事前学習され、さまざまなタスクに適応できる大規模なモデルです。LLM は言語の基盤モデル、マルチモーダルは複数の種類のデータを扱えること、拡散モデルは画像の生成の主要な方式です。プロンプトエンジニアリングは指示文の工夫、プロンプトチューニングは少数のパラメータ(ソフトプロンプト)を学習して出力を調整する方法です。

仕組み・手順

  1. AI ⊃ 機械学習 ⊃ 深層学習 ⊃ 生成 AI の関係を整理する
  2. 基盤モデル・LLM・マルチモーダルの違いを説明できるようにする
  3. プロンプトエンジニアリングとプロンプトチューニングを区別する

業務での例

経営会議で、生成 AI を「既存のデータから新しい文書や画像を作る AI」、基盤モデルを「多くの用途に使える汎用の土台」と説明する。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 自然言語処理(NLP)の説明として最も適切なものはどれか。

  1. 画像や動画の中の物体を見つけ、その位置と種類を判定する AI の分野
  2. 人間の言葉をコンピュータが理解・生成できるようにする AI の分野
  3. ネットワークへの不正な侵入を検知し、自動で遮断するセキュリティの分野
  4. 表形式の数値データから、将来の売上などの数値を予測する統計の分野
答えと解説を見る

正解:B 人間の言葉をコンピュータが理解・生成できるようにする AI の分野

翻訳・要約・感情分析・チャットボットなどが NLP の例。LLM は NLP を大きく進歩させた。

Q2. プロンプトエンジニアリングとプロンプトチューニングの違いとして最も適切なものはどれか。

  1. プロンプトエンジニアリングはモデルの全パラメータを再学習し、プロンプトチューニングは指示の文章を書き換えるだけである
  2. プロンプトエンジニアリングは画像の生成だけに、プロンプトチューニングはテキストの生成だけに使う
  3. 前者は指示の書き方を工夫し、後者は少数の追加パラメータを学習させる
  4. どちらもモデルの重みをゼロから学習し直す手法で、違いは学習に使うデータの量だけである
答えと解説を見る

正解:C 前者は指示の書き方を工夫し、後者は少数の追加パラメータを学習させる

プロンプトチューニングはモデル本体の重みは固定し、ソフトプロンプトと呼ばれる少数のベクトルだけを学習する、効率のよいカスタマイズの手法。

参考リンク

1.2機械学習の手法と ML のライフサイクル

機械学習の手法(教師あり・教師なし・強化学習)と ML のライフサイクル(データの取り込み・準備・学習・デプロイ・管理)と各段階の Google Cloud のツール

概念

機械学習の手法には、正解付きのデータで学ぶ教師あり学習(分類・回帰)、正解のないデータから構造を見つける教師なし学習(クラスタリング)、報酬から学ぶ強化学習があります。ML のライフサイクルは、データの取り込み → データの準備 → 学習 → デプロイ → 管理(監視・再学習)です。Google Cloud では、取り込みに Pub/Sub・Cloud Storage、準備に BigQuery・Dataflow、学習とデプロイに Agent Platform(旧 Vertex AI)、管理に Model Registry やモデルの監視の機能を使います。

仕組み・手順

  1. 課題に合う学習の手法を選ぶ
  2. ライフサイクルの各段階で使うサービスを対応させる
  3. デプロイ後の監視と再学習まで計画する

業務での例

小売の需要予測で、販売データを BigQuery に集めて前処理し、Agent Platform で学習・デプロイして、精度の低下を監視する。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 小売企業が、顧客満足度の低下の原因を探りたい。構造化データと非構造化データを組み合わせた生成 AI の活用として最も適切なものはどれか。

  1. 購買履歴の表と問い合わせのメールの本文を合わせて分析し、不満の傾向を要約する
  2. 購買履歴の表を BigQuery で集計し、満足度の低い顧客の購入額の推移をグラフにする
  3. 問い合わせのメールを生成 AI で要約し、件数の多い話題を一覧にして報告する
  4. 満足度アンケートの点数の表を使い、点数の低い店舗を回帰分析で予測する
答えと解説を見る

正解:A 購買履歴の表と問い合わせのメールの本文を合わせて分析し、不満の傾向を要約する

生成 AI は非構造化データを理解できるため、構造化データと組み合わせた分析の価値が大きい。 【他の選択肢】表だけの集計や回帰、メールだけの要約は、どちらか一方のデータしか使っていない。

Q2. 強化学習が生成 AI の分野で使われる例として最も適切なものはどれか。

  1. 人の評価を報酬にして、LLM の回答を有用で安全なものに調整する
  2. ラベルのない文章を、似た話題ごとのグループに分ける
  3. 表形式のデータの欠損値を、平均値で埋める
  4. 画像に「猫」「犬」のラベルを付けて、分類のモデルを学習させる
答えと解説を見る

正解:A 人の評価を報酬にして、LLM の回答を有用で安全なものに調整する

RLHF(人間のフィードバックによる強化学習)は LLM の調整に使われる。

参考リンク

1.3業務に合う基盤モデルの選び方

業務に合う基盤モデルの選び方(モダリティ、コンテキストウィンドウ、セキュリティ、可用性、コスト、性能、ファインチューニング)と、作成・要約・発見・自動化のユースケース

概念

基盤モデルは、モダリティ(テキスト・画像・音声・動画)、コンテキストウィンドウ(一度に扱える量)、セキュリティ、可用性と信頼性、コスト、性能、ファインチューニングの可否で選びます。生成 AI のユースケースは、作成(文章・画像の生成)、要約、発見(検索・情報の抽出)、自動化(定型の作業)に分類できます。

仕組み・手順

  1. ユースケースが作成・要約・発見・自動化のどれかを整理する
  2. 必要なモダリティとコンテキストの長さを確認する
  3. コスト・速度・品質の優先順位を決めてモデルを比べる

業務での例

数百ページの契約書を要約するため、長いコンテキストウィンドウを持つモデルを選び、大量の短い問い合わせの分類には軽量で安価なモデルを選ぶ。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 経営会議で、生成 AI が自社の事業に与える影響を説明する。試験ガイドの「作成・要約・発見・自動化」の観点を踏まえた説明として最も適切なものはどれか。

  1. 影響は主に IT 部門の開発の効率化に限られ、他部門は既存の業務を続ければよい
  2. 文書や画像などの非構造化データの活用が進み、各部門の生産性や顧客体験に影響する
  3. 主な効果は表形式データの集計の高速化で、営業や人事の文書の業務への影響は小さい
  4. 主な価値は人員の削減で、定型業務から順に人の判断を置き換えることが目的になる
答えと解説を見る

正解:B 文書や画像などの非構造化データの活用が進み、各部門の生産性や顧客体験に影響する

生成 AI はあらゆる部門で、作成・要約・発見・自動化に使われる。 【他の選択肢】生成 AI の価値は表の集計や IT 部門にとどまらず全部門に及び、人の置き換えではなく作成・要約・発見・自動化による業務の変革が中心になる。

Q2. コンテキストウィンドウが大きいモデルの利点として最も適切なものはどれか。

  1. 回答の文字数が必ず短くなり、利用料金が自動的に安くなる
  2. ハルシネーションがまったく起きなくなり、確認が不要になる
  3. 学習データの時点より新しい情報を、外部の検索なしで必ず知っている
  4. 長い文書や多くの資料を一度に入力し、全体を踏まえて回答できる
答えと解説を見る

正解:D 長い文書や多くの資料を一度に入力し、全体を踏まえて回答できる

コンテキストウィンドウは一度に扱えるトークンの量。大きいほど長い入力を扱えるが、料金や応答時間は増えうる。

参考リンク

1.4データの種類と品質

データの種類(構造化・非構造化、ラベルあり・なし)とデータの品質・アクセス性(完全性・一貫性・関連性・可用性・コスト・形式)

概念

データには、表のように形式の決まった構造化データと、文章・画像・音声のような非構造化データがあります。学習用には正解のあるラベル付きデータと、ラベルなしのデータがあります。AI の品質はデータの品質に左右され、完全性(欠けがない)・一貫性・関連性・可用性(使える状態か)・コスト・形式を確認します。

仕組み・手順

  1. 使えるデータの種類と所在を確認する
  2. データの品質の観点(完全性・一貫性・関連性)で評価する
  3. アクセスの権限と形式を整え、使える状態にする

業務での例

問い合わせの分析で、CRM の構造化データと、メールの本文の非構造化データを組み合わせ、重複や欠けを整理してから使う。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 紙の契約書をスキャンした PDF が大量にあり、生成 AI で条項を検索したい。データの「形式(format)」の観点で最初に考えることとして最も適切なものはどれか。

  1. 契約書は構造化データなので、表の形式に入れ直してから使う必要がある
  2. 形式より量が重要なので、まず契約書を漏れなく集めてから品質を確認する
  3. スキャン画像はマルチモーダルのモデルで読めるため、形式の検討は省いて進める
  4. 画像のままでは検索しにくいため、文字の抽出や変換の手間と費用を見積もる
答えと解説を見る

正解:D 画像のままでは検索しにくいため、文字の抽出や変換の手間と費用を見積もる

形式の変換やアクセスの整備にかかるコストも、データの品質・アクセス性の観点に含まれる。 【他の選択肢】マルチモーダルで読めても、大量の検索には文字の抽出(Document AI など)が必要になりうる。契約書は非構造化データ。量を集めても形式の問題は残る。

Q2. ラベル付きデータを作る際の業務上の課題として最も適切なものはどれか。

  1. 正解の付与に時間と費用がかかり、基準のぶれが品質に響く
  2. ラベルを付けると、データの量が必ず半分に減ってしまう
  3. ラベルを付ける作業は、データの品質に影響しない
  4. ラベル付きデータは、生成 AI ではまったく使うことができない
答えと解説を見る

正解:A 正解の付与に時間と費用がかかり、基準のぶれが品質に響く

ラベルの品質と一貫性はモデルの性能を左右する。基準の文書化とチェックが重要。

参考リンク

1.5生成 AI の層

生成 AI の層(インフラ・モデル・プラットフォーム・エージェント・アプリケーション)

概念

生成 AI は、インフラ(TPU・GPU などの計算資源)、モデル(基盤モデル)、プラットフォーム(モデルの利用・調整・管理の基盤:Agent Platform)、エージェント(ツールを使って作業する AI)、アプリケーション(利用者が使う製品:Gemini app・Gemini Enterprise など)の層で整理できます。どの層を自社で作り、どの層を利用するかが戦略の判断になります。

仕組み・手順

  1. 自社の取り組みがどの層に当たるかを整理する
  2. 下の層ほど自由度は高いが、専門性とコストが必要
  3. 多くの企業はアプリケーション・エージェントの層から始める

業務での例

営業の生産性を上げるため、まずアプリケーションの層の Gemini for Google Workspace を導入し、独自の業務にはプラットフォームの層でエージェントを開発する。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 「問い合わせを受けて在庫を確認し、必要なら発注まで進める」仕組みを検討している。生成 AI の層のうち、主に必要になるものとして最も適切なものはどれか。

  1. エージェント(ツールやデータを使い、複数の手順を自律的に進める)
  2. アプリケーション(利用者が操作する製品の画面や機能を提供する)
  3. モデル(大量のデータで事前学習され、文章などを生成する)
  4. プラットフォーム(モデルの利用・調整・管理の基盤を提供する)
答えと解説を見る

正解:A エージェント(ツールやデータを使い、複数の手順を自律的に進める)

エージェントはモデルの推論能力とツールを組み合わせて、目標の達成に向けて行動する。 【他の選択肢】アプリケーションは利用者との接点、プラットフォームは開発と管理の基盤、モデルは推論の中核。ツールを使って手順を進める役割はエージェント。

Q2. 生成 AI のアプリケーション層の製品を選ぶことの利点として最も適切なものはどれか。

  1. 開発なしで、すぐに業務で使い始められる
  2. モデルの学習のデータを自由に選べる
  3. 計算のハードウェアを自社で設計できる
  4. モデルの重みを自由に書き換えられる
答えと解説を見る

正解:A 開発なしで、すぐに業務で使い始められる

アプリケーション(Gemini app、Workspace の Gemini など)はすぐに使える。カスタマイズの自由度は低い。

参考リンク

1.6Google の基盤モデル

Google の基盤モデル(Gemini、Gemma、Imagen、Veo)の用途と強み

概念

Gemini は Google の主力のマルチモーダルの基盤モデルで、テキスト・画像・音声・動画・コードを扱えます。Gemma は軽量なオープンモデルで、自社の環境で動かしたりカスタマイズしたりできます。Imagen はテキストから画像を生成するモデル、Veo は動画を生成するモデルです。

仕組み・手順

  1. 用途(理解・生成・画像・動画)に合うモデルを選ぶ
  2. 自社の環境で動かしたい・カスタマイズしたいなら Gemma を検討する
  3. 画像の生成は Imagen、動画は Veo

業務での例

製品の紹介動画の案を Veo で作り、Web サイトの画像は Imagen で生成、問い合わせの対応には Gemini を使う。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. Gemma を選ぶ理由として最も適切なものはどれか。

  1. 画像の生成に特化しており、利用には必ず Google Workspace の契約が必要になる
  2. 動画の生成に特化しており、テキストの処理には使えない
  3. Google の全モデルの中で最も大きく、どのようなタスクでも最高の精度が出る
  4. 重みが公開され、自社の環境での実行やカスタマイズがしやすい
答えと解説を見る

正解:D 重みが公開され、自社の環境での実行やカスタマイズがしやすい

Gemma は軽量なオープンモデル。データを外部に出せない環境やエッジでの利用に向く。

Q2. TPU についての説明として最も適切なものはどれか。

  1. Google が AI 向けに独自に設計したプロセッサ
  2. 生成 AI の出力を人が評価するための管理画面
  3. Gemini の回答を翻訳するための専用の API
  4. Google Workspace の文書を保存するためのストレージ
答えと解説を見る

正解:A Google が AI 向けに独自に設計したプロセッサ

TPU(Tensor Processing Unit)。AI Hypercomputer の構成要素の 1 つ。

参考リンク

レッスンは当サイトがGoogle Cloud 認定の公開ページと試験ガイドをもとに独自に作成したもので、試験の内容を保証するものではありません。製品の仕様は変わることがあるため、参考リンク先の最新情報を確認してください。

ご利用上の注意(非公式・独自問題・合格保証なし)