GAIL · LESSON 3
セクション3:生成 AI モデルの出力を改善する手法約20% · 5項目
基盤モデルの限界と対策、継続的な監視と評価、プロンプトの技法、グラウンディング、サンプリングのパラメータを学びます。
3.1基盤モデルの限界と対策
基盤モデルの限界(データへの依存、知識のカットオフ、バイアス、公平性、ハルシネーション、エッジケース)と対策(グラウンディング、RAG、プロンプトエンジニアリング、ファインチューニング、Human in the Loop)
概念
基盤モデルには、学習データへの依存、知識のカットオフ(学習時点以降の情報を知らない)、バイアスと公平性の問題、ハルシネーション、まれなケース(エッジケース)への弱さがあります。対策は、グラウンディング(信頼できる情報源に結び付ける)、RAG、プロンプトエンジニアリング、ファインチューニング、Human in the Loop(人の確認)です。
仕組み・手順
- ユースケースでどの限界が問題になるかを特定する
- 最新・社内の情報が必要ならグラウンディングや RAG を使う
- 影響の大きい判断には人の確認を入れる
業務での例
最新の料金プランを答えるチャットで、知識のカットオフの問題を避けるため、料金表のデータでグラウンディングし、出典を表示する。
紛らわしい点・試験の注意
- ファインチューニングは最新の事実の追加には向かない(RAG が向く)
- ハルシネーションは完全にはなくせない
- Human in the Loop は全件の確認ではなく、要所での人の判断
ミニクイズ
Q1. 社内の規程について答えるチャットで、回答の根拠を利用者が確かめられるようにしたい。最も適した方法はどれか。
- 社内の規程の文書でグラウンディングし、回答に出典を示す
- 規程の文書でモデルをファインチューニングし、内容を記憶させる
- temperature を下げて、回答のぶれを小さくする
- Grounding with Google Search を有効にし、Web の情報で回答を補う
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正解:A 社内の規程の文書でグラウンディングし、回答に出典を示す
グラウンディングは出力の根拠を示し、ハルシネーションを減らす。 【他の選択肢】ファインチューニングは出典を示さず、規程の更新にも弱い。Google 検索は社内の規程を対象にしない。temperature は出力の安定性の設定で、根拠を示さない。
Q2. 基盤モデルの「バイアス」の限界への対策として最も適切なものはどれか。
- 多様な観点で評価し、偏りがあればデータや運用を見直す
- モデルは中立なので、偏りを確認する必要はない
- バイアスは学習データと無関係なので、データは確認しない
- バイアスのある出力は、利用者に気づかれないように隠す
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正解:A 多様な観点で評価し、偏りがあればデータや運用を見直す
バイアスは学習データの偏りなどから生じる。継続的な評価が必要。
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3.2継続的な監視と評価
継続的な監視と評価(モデルの自動アップグレード、KPI、セキュリティパッチ、バージョン管理、性能の追跡、ドリフトの監視、Feature Store)
概念
生成 AI は本番でも継続的に監視・評価します。モデルの自動のアップグレードでの振る舞いの変化、KPI、セキュリティのパッチ、バージョン管理(使うモデルの版の固定)、性能の追跡、ドリフト(入力や出力の傾向の変化)の監視を行います。Feature Store は ML の特徴量を一元管理し、学習と推論で同じ特徴量を使えるようにします。
仕組み・手順
- 業務の KPI と品質の指標を決めて追跡する
- モデルの版を管理し、更新の前に評価する
- ドリフトを監視し、必要に応じて再評価・再学習する
業務での例
モデルの新しい版が公開されたとき、評価データで旧版と比べて品質が下がらないことを確認してから切り替える。
紛らわしい点・試験の注意
- 自動のアップグレードで出力の傾向が変わることがある
- リリース前の評価だけでは本番の変化に気づけない
- Feature Store は特徴量の一貫性のための仕組み
ミニクイズ
Q1. 生成 AI のモデルの「継続的な監視」で追跡すべき指標の例として最も適切なものはどれか。
- モデルの名前の長さと、ロゴの色
- 社員の通勤の時間と、出社の日数
- データセンターの建物の築年数
- 回答の正確性、満足度、応答時間
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正解:D 回答の正確性、満足度、応答時間
KPI を決めて性能を追跡し、ドリフトや劣化を検知する。
Q2. 生成 AI のモデルの「バージョン管理」が重要な理由として最も適切なものはどれか。
- バージョン管理は、画像の生成でだけ必要になるため
- モデルの更新で出力が変わるため、版を記録して比較・切り戻しする
- バージョン番号が大きいほど、必ず料金が安くなるため
- バージョンを固定すると、セキュリティの更新が自動で適用されるため
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正解:B モデルの更新で出力が変わるため、版を記録して比較・切り戻しする
自動のモデルのアップグレードと、版の固定のどちらを選ぶかも運用の判断。
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3.3プロンプトの技法
プロンプトの技法(Zero-shot・One-shot・Few-shot、ロールプロンプト、プロンプトチェーン、Chain-of-Thought、ReAct)
概念
Zero-shot は例なし、One-shot は 1 つ、Few-shot は複数の例を示す方法です。ロールプロンプトはモデルに役割を与え、プロンプトチェーンは複数のプロンプトを順に実行して結果をつなぎ、Chain-of-Thought は段階的に考えさせます。ReAct は推論(Reasoning)と行動(Acting:ツールの使用)を交互に行う方法で、エージェントの基礎になっています。
仕組み・手順
- 簡単なタスクは Zero-shot から試す
- 出力の形式をそろえたいなら Few-shot の例を示す
- 複雑な作業はプロンプトチェーンで段階に分ける
- ツールを使いながら考えるタスクには ReAct
業務での例
報告書の作成を、①データの要約 → ②課題の抽出 → ③提案の作成、のプロンプトチェーンに分け、各段階の出力を確認できるようにする。
紛らわしい点・試験の注意
- Few-shot はモデルを再学習しない
- ReAct は思考とツールの使用を交互に行う
- ロールプロンプトだけで専門性や正確さが保証されるわけではない
ミニクイズ
Q1. 問い合わせの分類で出力の形式をそろえたい。プロンプトは短く保つ必要があり、典型的な例は 1 件しか用意できない。最も適した手法はどれか。
- プロンプトチェーン(複数の指示を順に実行)
- Zero-shot プロンプト(例を示さず指示だけ)
- Few-shot プロンプト(複数の例を示す)
- One-shot プロンプト(例を 1 つ示す)
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正解:D One-shot プロンプト(例を 1 つ示す)
Zero-shot(0 例)、One-shot(1 例)、Few-shot(複数例)。 【他の選択肢】Zero-shot は例がなく形式がそろいにくい。Few-shot は複数の例が必要だが用意できるのは 1 件。プロンプトチェーンは工程を分ける手法で、形式の例示にはならない。
Q2. Chain-of-Thought が特に効果を発揮するタスクとして最も適切なものはどれか。
- 画像の色を明るくする処理
- 一言のあいさつの文の作成
- 単語を 1 つだけ翻訳する処理
- 段階的な推論が必要な問題
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正解:D 段階的な推論が必要な問題
段階的な推論で、複雑な問題の正確さが上がる。
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3.4グラウンディング
グラウンディング(自社データ・第三者データ・世界のデータ、RAG、Agent Search、RAG API、Google 検索によるグラウンディング)
概念
グラウンディングは、モデルの回答を検証できる情報源に結び付けることです。情報源には、自社のデータ(社内文書・データベース)、第三者のデータ、世界のデータ(Web)があります。Google Cloud では、RAG、Agent Search、RAG API、Google 検索によるグラウンディング(最新の Web の情報に基づく回答)を使えます。
仕組み・手順
- 回答の根拠にすべき情報源を決める
- 社内の情報は RAG や Agent Search でグラウンディングする
- 最新の一般的な情報は Google 検索によるグラウンディングを使う
- 出典を表示して利用者が確認できるようにする
業務での例
社内規程の質問は社内文書で、業界の最新ニュースの質問は Google 検索でグラウンディングし、それぞれ出典を示す。
紛らわしい点・試験の注意
- Google 検索のグラウンディングは社内の非公開の情報には使えない
- グラウンディングでもハルシネーションはゼロにならない
- 情報源の品質が回答の品質を決める
ミニクイズ
Q1. RAG(検索拡張生成)の仕組みとして正しいものはどれか。
- モデルの回答を検索エンジンに登録し、他の利用者が見られるようにする
- 質問を画像に変換して、画像の検索の結果をそのまま返す
- 関係する情報を検索し、プロンプトに加えて回答を生成させる
- 質問の答えをすべて事前にモデルに学習させ、検索は一切行わない
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正解:C 関係する情報を検索し、プロンプトに加えて回答を生成させる
RAG はモデルを再学習せずに、最新・社内の情報を回答に反映できる。
Q2. RAG がファインチューニングより適している場面として最も適切なものはどれか。
- モデルの口調を、特定のキャラクターの話し方に固定したい
- 専門の分野の分類のタスクの精度を、大量の例で上げたい
- 特定の出力の形式を、モデルに深く身につけさせたい
- 頻繁に更新される社内の情報で、根拠を示して答えたい
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正解:D 頻繁に更新される社内の情報で、根拠を示して答えたい
情報の更新・出典の提示は RAG、形式・文体・タスクの適応はチューニング。
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3.5サンプリングのパラメータ
サンプリングのパラメータ(トークン数、temperature、top-p、安全性の設定、出力の長さ)
概念
サンプリングのパラメータは出力を調整します。temperature は出力のランダムさ(低いと一貫的、高いと多様)、top-p は確率の高い候補から累積の確率で選ぶ範囲、出力のトークン数(最大の長さ)は出力の長さと費用を制御します。安全性の設定は、有害なカテゴリのコンテンツをどの程度ブロックするかを決めます。
仕組み・手順
- 事実に基づく回答や分類には temperature を低くする
- アイデアの発想には temperature を高めにする
- 最大トークン数で長さと費用を制御する
- 用途に合わせて安全性の設定の閾値を調整する
業務での例
FAQ の回答では temperature を 0.2 にして安定させ、キャンペーンの名前の案出しでは 0.9 にして多様な案を出させる。
紛らわしい点・試験の注意
- temperature を下げても事実の正確さは保証されない
- 最大トークン数が小さすぎると回答が途中で切れる
- 安全性の設定を緩めすぎると有害な出力のリスクが上がる
ミニクイズ
Q1. 社内文書を使う RAG のチャットで、廃止された旧規程に基づく回答が出た。原因の説明として最も適切なものはどれか。
- 回答の正確さはモデルのサイズで決まり、検索の結果の品質は影響しないため
- 検索で取り出された文書の内容と鮮度が、生成される回答の正確さを左右するため
- temperature が高いと検索の結果が無視され、事前学習の知識から回答されるため
- RAG ではモデルが事前学習の知識を優先し、取り出した文書は補足に使われるだけのため
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正解:B 検索で取り出された文書の内容と鮮度が、生成される回答の正確さを左右するため
古い文書や無関係な文書が取り出されると、誤った回答になる。 【他の選択肢】RAG では取り出した文書が回答の根拠になる。temperature は出力の多様さの設定で、検索の結果を無視させるものではない。検索の結果の品質は回答に直接影響する。
Q2. 製品の説明文で、確率の低い不自然な語が混ざらないようにしつつ、ある程度の表現の幅は残したい。調整する設定として最も適切なものはどれか。
- 安全性の設定を厳しくし、不適切な語の出力をブロックする
- top-p を下げ、累積の確率の高い候補の中から次の語を選ばせる
- 出力のトークン数の上限を下げ、文章を短くして不自然な語を減らす
- temperature を上げ、多様な候補の中から次の語を選ばせる
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正解:B top-p を下げ、累積の確率の高い候補の中から次の語を選ばせる
top-p を小さくすると候補が絞られ、出力が保守的になる。 【他の選択肢】トークン数の上限は長さの設定。安全性の設定は有害なカテゴリの制御。temperature を上げると確率の低い語が選ばれやすくなる。
参考リンク
レッスンは当サイトがGoogle Cloud 認定の公開ページと試験ガイドをもとに独自に作成したもので、試験の内容を保証するものではありません。製品の仕様は変わることがあるため、参考リンク先の最新情報を確認してください。
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