CLF-C02 · LESSON 1
クラウドのコンセプト24% · 4項目
AWS クラウドの利点、設計の原則(Well-Architected)、移行の戦略、クラウドの経済性を学びます。
1.1AWS クラウドの利点を説明する
1.1 Define the benefits of the AWS Cloud.
概念
AWS が示すクラウドの 6 つの利点は、①固定費(設備投資)を変動費に、②規模の経済による低コスト、③キャパシティの予測が不要、④速度と俊敏性の向上、⑤データセンターの運用・保守への投資が不要、⑥数分でグローバルに展開、です。加えて、高可用性・弾力性(エラスティック)・スケーラビリティもよく問われます。
仕組み・手順
- 今の課題(設備の調達に時間がかかる、ピークに合わせて過剰に購入しているなど)を整理する
- 課題を 6 つの利点のどれで解決できるか対応付ける
- 需要に応じて増減できる弾力性で、ピーク時だけ容量を増やす
- 複数のリージョン・AZ を使って可用性とグローバル展開を実現する
業務での例
年末だけアクセスが 10 倍になる EC サイトが、オンプレミスでピーク用のサーバーを買う代わりに、Auto Scaling で年末だけ台数を増やす。
紛らわしい点・試験の注意
- 「スケーラビリティ」は負荷に合わせて拡張できること、「弾力性」は自動で増減すること
- 「キャパシティの予測が不要」は需要の予測が全く不要という意味ではなく、事前の過剰購入が不要ということ
- 設備投資(CapEx)から運用費(OpEx)への転換がキーワード
ミニクイズ
Q1. 販売管理システムのサーバー更改にあたり、経理部から「5年分のサーバー代を一括で計上する方式をやめたい」と要望があった。AWS クラウドのどの利点が最も直接的に当てはまるか。
- 契約時に5年分の利用料を確定でき、追加費用が発生しない
- 設備投資の固定費を、使った分だけ支払う変動費に置き換えられる
- 購入したサーバーを AWS のデータセンターに預けて減価償却を続けられる
- 1台あたりの性能が高いため、サーバー台数そのものを常に半分以下に減らせる
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正解:B 設備投資の固定費を、使った分だけ支払う変動費に置き換えられる
クラウドでは先行投資(設備投資)を、使用量に応じた従量課金(変動費)に置き換えられる。台数の削減や5年分の確定は利点の説明として誤り。自社サーバーを預ける方式はコロケーションでありクラウドの従量課金ではない。
Q2. 新規事業の検証用システムを、需要がまだ読めない段階で用意したい。クラウドの「容量の推測が不要になる」という利点の説明として最も適切なものはどれか。
- 最初に最大構成で契約しておけば、実際の利用量が少ない月は請求額が自動で下がる仕組みになっている
- 容量の上限がないため、どれだけ使っても月額料金は一定である
- 必要になった時点で容量を増減でき、事前に最大需要を見積もって購入する必要がない
- AWS が過去の利用実績から必要容量を予測し、利用者の承認なしに契約を変更する
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正解:C 必要になった時点で容量を増減でき、事前に最大需要を見積もって購入する必要がない
需要に応じて後から容量を増減できるため、ピークを予測して余分な設備を買う必要がない。上限なし・定額という性質はない。
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1.2AWS クラウドの設計原則を理解する
1.2 Identify design principles of the AWS Cloud.
概念
AWS Well-Architected フレームワークは、6 つの柱(運用上の優秀性・セキュリティ・信頼性・パフォーマンス効率・コスト最適化・持続可能性)でアーキテクチャを評価する指針です。各柱に設計原則があり、例えば信頼性では「障害から自動的に復旧する」「水平スケーリング」、コスト最適化では「消費モデルを採用する」があります。
仕組み・手順
- 対象のワークロードを 6 つの柱の観点で見直す
- AWS Well-Architected Tool で質問に答え、リスクを洗い出す
- 優先度の高い改善項目から対応する
- 定期的に見直しを繰り返す
業務での例
社内システムを Well-Architected Tool でレビューし、単一の AZ で動いている(信頼性のリスク)、使っていない開発環境が常時稼働(コストのリスク)を改善する。
紛らわしい点・試験の注意
- 持続可能性は 6 番目の柱(2021 年に追加)
- 「疎結合」「使い捨て可能なリソース」は信頼性・運用の考え方
- Well-Architected Tool は無料で使える
ミニクイズ
Q1. AWS Well-Architected フレームワークの柱として誤っているものはどれか。
- 運用上の優秀性
- コスト最適化
- 移行の容易性
- 持続可能性
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正解:C 移行の容易性
Well-Architected フレームワークの6つの柱は、運用上の優秀性・セキュリティ・信頼性・パフォーマンス効率・コスト最適化・持続可能性。「移行の容易性」は柱ではない。
Q2. Well-Architected フレームワークの「セキュリティ」の柱が重視する考え方として最も適切なものはどれか。
- 操作の記録を残して追跡できるようにし、すべての層にセキュリティ対策を施す
- 利用者が多い場合は利便性を優先し、管理者権限を共有アカウントで配る
- セキュリティの設定は導入時に一度決めたら、以降は変更しないで固定する
- セキュリティ対策は外部との境界のファイアウォールに集中させ、内部は自由に通信させる
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正解:A 操作の記録を残して追跡できるようにし、すべての層にセキュリティ対策を施す
セキュリティの柱では、追跡可能性の確保やすべてのレイヤーでのセキュリティ適用などを設計原則としている。境界だけの防御や権限の共有は原則に反する。
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1.3AWS クラウドへの移行の利点と戦略を理解する
1.3 Understand the benefits of and strategies for migration to the AWS Cloud.
概念
移行の戦略は「7R」で整理されます:リホスト(そのまま移す)、リプラットフォーム(一部を最適化、例:DB を RDS に)、リファクタリング(クラウドネイティブに作り直す)、再購入(SaaS に乗り換え)、リタイア(廃止)、保持(そのまま残す)、リロケート(VMware のまま移す)。AWS クラウド導入フレームワーク(CAF)は、ビジネス・人材・ガバナンス・プラットフォーム・セキュリティ・運用の 6 つの観点で移行を支援します。
仕組み・手順
- 現行のシステムを棚卸しし、依存関係を把握する
- システムごとに 7R のどれを使うか決める
- AWS CAF の観点で、組織・人材・ガバナンスの準備を確認する
- 大量データは AWS Snowball などで移し、サーバーは AWS Application Migration Service で移す
業務での例
期限が迫るデータセンターの撤退で、まず多くのサーバーをリホストし、その後に DB を RDS へリプラットフォーム、古い勤怠システムは SaaS に再購入する。
紛らわしい点・試験の注意
- リホストは最も速いが、クラウドの利点を十分には生かせない
- CAF の「ビジネス・人材・ガバナンス」はビジネス側、「プラットフォーム・セキュリティ・運用」は技術側の観点
- オフラインで大量データを運ぶのが Snowball ファミリー
ミニクイズ
Q1. オンプレミスのサーバーを使い続けるか AWS に移行するかを経営会議で検討する。費用比較を正しく行うために、最初に行うべきことはどれか。
- AWS の最も小さいインスタンスの月額料金だけを、現行サーバー一式の購入価格と比べる
- AWS の料金は変動するため、比較は行わずに試験的に全システムを移行する
- 現行サーバーの減価償却が終わった後の、保守費用だけを AWS の料金と比べる
- 電力・空調・設置場所・保守要員なども含めたオンプレミスの総所有コストを洗い出す
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正解:D 電力・空調・設置場所・保守要員なども含めたオンプレミスの総所有コストを洗い出す
オンプレミスにはサーバー本体以外の見えにくいコスト(電力・空調・設置場所・人件費)がある。これを含めた総所有コストで比較しないと判断を誤る。
Q2. AWS Well-Architected Tool の用途として最も適切なものはどれか。
- ワークロードを質問形式でレビューし、フレームワークに照らした改善点を把握する
- オンプレミスの既存サーバーを AWS へ自動的にコピーし、移行作業そのものを代行させる
- 社外からの不正アクセスを常時監視し、攻撃元を自動的に遮断する
- アカウント内のリソースの料金を部門別に配賦し、請求書を分割する
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正解:A ワークロードを質問形式でレビューし、フレームワークに照らした改善点を把握する
AWS Well-Architected Tool はワークロードの状態を質問に沿って確認し、6つの柱に照らしたリスクと改善点を把握するためのツール。移行や請求、脅威検知は別サービス。
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1.4クラウドの経済性を理解する
1.4 Understand concepts of cloud economics.
概念
クラウドの経済性では、総保有コスト(TCO:サーバー・電力・設備・人件費を含む)で比較することが重要です。オンプレミスの固定費・ライセンス費と、クラウドの従量課金・適正なサイズ化(ライトサイジング)・自動化による運用費の削減を比べます。既存のライセンスを持ち込む(BYOL)選択もあります。
仕組み・手順
- オンプレミスの直接費(ハードウェア)と間接費(電力・設備・運用の人件費)を洗い出す
- クラウドの見積もりを AWS Pricing Calculator で作る
- ライトサイジングと自動停止でクラウドのコストを最適化する
- 運用の自動化で削減できる作業時間も効果に含める
業務での例
オンプレミスのサーバー更新の見積もりと、AWS での 3 年間の TCO を比べ、運用担当の作業時間の削減も含めて移行を判断する。
紛らわしい点・試験の注意
- ハードウェアの価格だけで比べると、クラウドのコストの利点を見誤る
- BYOL は既存のライセンスを使う選択(専有ホストが必要な場合がある)
- ライトサイジングは「必要な性能に合わせてサイズを選ぶ」こと
ミニクイズ
Q1. 規模の経済(Economies of scale)による AWS の利点として最も適切な説明はどれか。
- 利用量が増えるほど、利用者が負担する保守作業も比例して減っていく
- 利用者ごとに専用のデータセンターを建設するため、性能が安定する
- 利用量の多い大口利用者だけが割引を受けられ、小規模な利用者は常に割高な料金になる
- 多数の利用者の利用量が集約されるため、従量課金の単価を低く抑えられる
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正解:D 多数の利用者の利用量が集約されるため、従量課金の単価を低く抑えられる
数十万の利用者の利用が集約されることで、AWS はより低い従量課金料金を提供できる。専用データセンターの建設や大口だけの割引は規模の経済の説明ではない。
Q2. 会計ソフトのライセンスを既に保有している会社が、AWS 上のサーバーで同じソフトウェアを動かしたい。ライセンスに関する検討として最も適切なものはどれか。
- 保有ライセンスは AWS 上では使えないため、必ず新しく購入し直す必要がある
- ライセンスの管理は責任共有モデルにより AWS の責任となる
- ライセンス条件を確認し、持ち込み(BYOL)とライセンス込みの料金を比較して選ぶ
- AWS 上で動かす市販ソフトウェアはすべて、AWS がライセンスを無償で提供する契約になっている
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正解:C ライセンス条件を確認し、持ち込み(BYOL)とライセンス込みの料金を比較して選ぶ
ソフトウェアによっては保有ライセンスを持ち込めるが、条件はベンダーとの契約次第。持ち込みとライセンス込みの料金を比較して選ぶ。ライセンス遵守は利用者の責任。
参考リンク
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