G検定 · LESSON 6

AI の社会実装に向けて・数理統計5%(当サイト設定) · 3項目

AI プロジェクトの進め方、データの収集・加工・分析、AI に必要な数理・統計の知識を学びます。

6.1AI プロジェクトの進め方

AI プロジェクトの進め方(CRISP-DM、CRISP-ML、PoC、MLOps、BPR、アジャイル、Web API、クラウド、Docker、Jupyter Notebook)

概念

CRISP-DM はデータ分析のプロジェクトの標準の手順で、ビジネスの理解 → データの理解 → データの準備 → モデリング → 評価 → 展開を繰り返します。CRISP-ML はこれを機械学習向けに拡張し、品質の保証と運用・監視を加えたものです。PoC(概念実証)で実現性を小さく確かめ、MLOps で開発と運用を継続的に回します。BPR(業務プロセスの再設計)で業務そのものを見直すことも重要です。開発ではアジャイル、提供では Web API・クラウド、環境の再現には Docker、試行錯誤には Jupyter Notebook がよく使われます。

仕組み・手順

  1. ビジネスの課題と評価の指標を最初に決める(ビジネスの理解)
  2. PoC で小さく検証してから本格的に開発する
  3. 運用後の監視と再学習(MLOps)まで計画に含める

業務での例

需要予測の PoC で、過去 1 年のデータで精度を確かめ、発注の業務の流れ(BPR)も見直したうえで、Web API として本番に組み込む。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 需要の予測に AI を使う構想がある。本格的な開発の前に PoC(概念実証)を行う目的として最も適切なものはどれか。

  1. 小さく実現性と効果を確かめ、評価の基準に基づいて本格的な開発に進むかを判断する
  2. 複数のベンダーに同じ課題を依頼し、最も安い提案を選ぶ
  3. 学習用のデータを集める前に、目標の精度を契約で保証してもらう
  4. 本番と同じ規模のシステムを作り、運用の手順まで確定させる
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正解:A 小さく実現性と効果を確かめ、評価の基準に基づいて本格的な開発に進むかを判断する

PoC では評価の指標と合格の基準を事前に決める。PoC を繰り返すだけで本番に進まない状態に注意する。 【他の選択肢】本番と同じ規模の構築は PoC の範囲を超える。費用の比較は調達の手順。データを確かめる前の精度の保証は、AI の開発では難しい。

Q2. 本番の需要予測のモデルの精度が、半年で徐々に下がってきた。MLOps の考え方に沿った対応として最も適切なものはどれか。

  1. データサイエンティストが年に 1 回、手元の環境でモデルを作り直す
  2. 最初に高い精度を出したモデルを固定し、精度の低下は許容範囲とみなす
  3. 入力と精度を監視し、ドリフトを検知したら再学習とデプロイを継続的に回す
  4. より大きなモデルを一度学習し直し、その後の監視の体制は設けない
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正解:C 入力と精度を監視し、ドリフトを検知したら再学習とデプロイを継続的に回す

運用中はデータの分布の変化(データドリフト)や、入力と正解の関係の変化(コンセプトドリフト)で精度が落ちるため、監視と再学習が必要。 【他の選択肢】固定や一度の学習し直しでは、今後のドリフトに対応できない。年 1 回の手元での作り直しは、継続的な監視・再学習・デプロイの仕組みにならない。

参考リンク

6.2データの収集・加工・分析・学習

データの収集・加工・分析・学習(オープンデータセット、アノテーション、コーパス、データリーケージ)

概念

データはオープンデータセット(ImageNet・MNIST・COCO など)、自社のデータ、Web などから集めます。アノテーションは、データに正解のラベルを付ける作業で、品質の基準をそろえることが重要です。コーパスは大量の文章のデータです。データリーケージは、本来は予測の時点で使えない情報(未来の情報や正解に直結する情報)が学習に混ざり、評価が不当に高くなる問題です。

仕組み・手順

  1. データの利用の条件(ライセンス・個人情報)を確認する
  2. アノテーションの基準を文書化し、作業者間のぶれを確認する
  3. 予測の時点で得られない情報を特徴量から除く

業務での例

入院の期間の予測で、「退院日」から計算した特徴量を学習に使っていたため評価が異常に高くなっていた(データリーケージ)。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. データのアノテーションについての注意点として最も適切なものはどれか。

  1. ラベルの品質はモデルの精度に影響しないので、作業の速さだけを重視する
  2. ラベル付けの基準を文書にし、作業者によるぶれを確認しながら品質を管理する
  3. できるだけ多くの作業者に、基準を示さずに各自の判断で自由にラベルを付けてもらう
  4. 一度付けたラベルは、誤りが見つかっても修正せずにそのまま使う
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正解:B ラベル付けの基準を文書にし、作業者によるぶれを確認しながら品質を管理する

アノテーションの品質がモデルの性能を左右する。基準の明確化、複数人によるチェック、一致率の確認などを行う。

Q2. 「データリーケージ」の説明として最も適切なものはどれか。

  1. 学習データが社外に漏れ、個人情報が流出してしまう情報セキュリティの問題
  2. データの保存の容量が足りず、古いデータが自動的に削除されてしまう問題
  3. 学習データの量が少なく、モデルの精度が十分に上がらない問題
  4. 予測の時点では使えない情報が学習に混ざり、評価が不当によくなる問題
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正解:D 予測の時点では使えない情報が学習に混ざり、評価が不当によくなる問題

例:解約の予測に「解約の手続きの日」の項目を入れてしまう。本番では精度が出ない。

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6.3AI に必要な数理・統計知識

AI に必要な数理・統計知識(平均・中央値・最頻値、分散・標準偏差、相関係数・疑似相関、正規分布・二項分布・ポアソン分布、条件付き確率、最尤法、最小二乗法、仮説検定、ユークリッド距離・マハラノビス距離・コサイン類似度)

概念

代表値には平均・中央値(外れ値に強い)・最頻値があり、ばらつきは分散と標準偏差で表します。相関係数は 2 つの変数の直線的な関係の強さ(−1〜1)で、相関は因果を意味せず、第三の要因による見かけの相関を疑似相関といいます。確率分布には正規分布・二項分布(成功の回数)・ポアソン分布(一定時間の発生の回数)があります。条件付き確率はベイズの定理の基礎です。最尤法はデータが得られる確率を最大にするパラメータを推定し、最小二乗法は誤差の二乗和を最小にします。仮説検定は帰無仮説を棄却できるかを p 値で判断します。距離にはユークリッド距離、分布のばらつきを考慮するマハラノビス距離、向きの近さのコサイン類似度があります。

仕組み・手順

  1. データの分布と外れ値を確認して代表値を選ぶ
  2. 相関を見つけたら因果か疑似相関かを検討する
  3. 文章のベクトルの類似度にはコサイン類似度を使う

業務での例

アイスクリームの売上と水難事故の件数に相関があるが、どちらも気温が原因の疑似相関であり、アイスクリームが事故を起こすわけではない。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 「アイスの売上が多い日は水難事故も多い」というデータがある。この関係の解釈として最も適切なものはどれか。

  1. 気温という第 3 の要因で相関しているように見える疑似相関の可能性がある
  2. 相関係数が 0.9 以上なら、因果関係があると判断できる
  3. 相関係数が高いので、アイスの売上が水難事故の原因と考えられる
  4. 水難事故が増えるとアイスの売上が増える逆の因果がある
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正解:A 気温という第 3 の要因で相関しているように見える疑似相関の可能性がある

例:アイスの売上と水難事故はどちらも気温の影響で相関する。他の変数の影響を除いた相関は偏相関係数で見る。 【他の選択肢】相関は因果を意味しない。逆の因果も根拠がない。相関係数の大きさだけでは因果を判断できず、第 3 の要因を除いた偏相関などで確かめる。

Q2. 最尤法(最尤推定)の説明として最も適切なものはどれか。

  1. データの中で最も多く出現する値を、そのデータの代表の値とする方法
  2. 仮説を立て、データからその仮説を棄却できるかを確率で判断する方法
  3. 予測値と実測値の差の二乗の和が最も小さくなるように、直線の係数を決める方法
  4. 観測データが得られる確率(尤度)が最大になるようにパラメータを推定する方法
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正解:D 観測データが得られる確率(尤度)が最大になるようにパラメータを推定する方法

【他の選択肢】二乗和の最小化は最小二乗法、最も多い値は最頻値、仮説の棄却は仮説検定(帰無仮説・対立仮説)。

参考リンク

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