G検定 · LESSON 7

AI に関する法律と契約13%(当サイト設定) · 6項目

個人情報保護法、著作権法、特許法、不正競争防止法と独占禁止法、AI の開発委託契約、AI サービスの提供契約を学びます。

7.1個人情報保護法

個人情報保護法(個人情報・個人識別符号・要配慮個人情報、利用目的、第三者提供、委託、匿名加工情報・仮名加工情報、GDPR)

概念

個人情報は、生存する個人に関する情報で特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)と、個人識別符号(顔認証のデータ・マイナンバー・旅券番号など)です。要配慮個人情報(人種・信条・病歴・犯罪歴など)の取得には原則として本人の同意が必要です。利用目的はできる限り特定し、目的外の利用は原則として本人の同意が必要です。第三者提供には原則として本人の同意が必要ですが、委託・事業承継・共同利用は第三者に当たりません。匿名加工情報は個人を識別できず復元できないよう加工した情報、仮名加工情報は他の情報と照合しない限り識別できないよう加工した情報で、主に社内での分析に使います。EU の GDPR は域外の事業者にも適用されうる規則です。

仕組み・手順

  1. 扱うデータが個人情報・要配慮個人情報に当たるか判断する
  2. 利用目的を特定し、通知・公表する
  3. 外部の事業者にデータを渡す場合、委託か第三者提供かを整理する

業務での例

AI の開発のために顧客データを外部の開発会社に渡す場合、委託として安全管理の監督を行い、開発会社が自社の目的で使うことは認めない。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 個人情報保護法での情報の区分を考える。特定の個人を識別できず、元の個人情報に復元することもできないように加工し、一定の条件の下で本人の同意なく第三者に提供できる情報はどれに当たるか。

  1. 匿名加工情報
  2. 個人識別符号を含む個人情報
  3. 仮名加工情報
  4. 要配慮個人情報
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正解:A 匿名加工情報

匿名加工情報は作成時に公表などの義務がある。(判断の分かれ目:識別も復元もできず、第三者提供可)

Q2. 個人情報保護法での情報の区分を考える。氏名を ID に置き換えるなど、他の情報と照合しなければ個人を識別できないよう加工し、社内での分析に使うが、原則として第三者には提供できない情報はどれに当たるか。

  1. 個人識別符号を含む個人情報
  2. 匿名加工情報
  3. 仮名加工情報
  4. 要配慮個人情報
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正解:C 仮名加工情報

仮名加工情報は利用目的の変更がしやすい一方、原則として第三者提供が禁止される。(判断の分かれ目:照合しなければ識別できない、社内の分析向け)

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7.2著作権法

著作権法(著作物・創作性、著作権法 30 条の 4、AI 生成物、利用規約)

概念

著作物は思想または感情を創作的に表現したもので、アイデアやデータそのものは保護されません。著作権法 30 条の 4 は、情報解析(AI の学習など)のように著作物に表現された思想・感情の享受を目的としない利用を、原則として権利者の許諾なく認めています。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は対象外です。AI の生成物は、人の創作的な寄与がなければ著作物と認められにくく、既存の著作物との類似性と依拠性があれば侵害となりえます。学習済みモデルやサービスの利用は利用規約にも従います。

仕組み・手順

  1. データが著作物に当たるかを確認する
  2. 学習目的の利用が 30 条の 4 の範囲か(享受目的が含まれないか)を確認する
  3. 生成物の利用時に既存の著作物との類似を確認する

業務での例

Web から集めた記事を AI の学習に使うことは 30 条の 4 で認められうるが、特定の作家の作品を出力させて販売することは侵害のリスクがある。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. AI と著作権の関係を考える。AI で生成した画像が、既存のキャラクターの画像に類似し、その著作物に依拠していると認められる場合に、それを販売する行為は、最も適切な考え方はどれか。

  1. 著作物に当たらない
  2. 人の創作的寄与があれば著作物となりうる
  3. 著作権法 30 条の 4 により、原則として許諾なく利用できる
  4. 著作権侵害となりうる
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正解:D 著作権侵害となりうる

生成 AI の利用でも、類似性と依拠性があれば著作権侵害となりうる。(判断の分かれ目:類似性と依拠性がある)

Q2. AI と著作権の関係を考える。人が何度も指示を工夫し、多数の生成物から選んで加筆・修正して仕上げた作品は、最も適切な考え方はどれか。

  1. 著作権法 30 条の 4 により、原則として許諾なく利用できる
  2. 著作権侵害となりうる
  3. 著作物に当たらない
  4. 人の創作的寄与があれば著作物となりうる
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正解:D 人の創作的寄与があれば著作物となりうる

人が創作意図を持ち、具体的な指示・選択・加工などの創作的寄与をした場合、著作物と認められうる。(判断の分かれ目:人の創作意図と創作的寄与)

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7.3特許法

特許法(発明・新規性・進歩性、職務発明)

概念

特許法の発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものです。特許を受けるには、産業上の利用可能性、新規性(出願前に公知でない)、進歩性(その分野の専門家が容易に思いつかない)などの要件を満たす必要があります。AI の分野では、学習済みモデルや AI を使った方法・装置が発明として保護されうる一方、AI 自身は発明者になれないとされています。職務発明は従業員が職務として行った発明で、契約や規則で会社が特許を受ける権利を取得でき、従業員は相当の利益を受ける権利があります。

仕組み・手順

  1. 発明を公表する前に出願を検討する(新規性の喪失を防ぐ)
  2. AI を使った発明の範囲(モデル・方法・装置)を整理する
  3. 職務発明の規程を整備する

業務での例

自社で開発した画像検査の AI の仕組みを、学会で発表する前に特許出願して新規性を確保する。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 著作権の発生についての説明として最も適切なものはどれか。

  1. 創作した時点で自動的に発生し、登録などの手続きは必要ない
  2. 著作物を販売して利益が出た時点で発生し、無償の作品には発生しない
  3. 文化庁に登録した時点で初めて発生し、登録しなければ保護されない
  4. 特許庁に出願し、審査を経て登録された時点で発生する
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正解:A 創作した時点で自動的に発生し、登録などの手続きは必要ない

著作権は無方式で発生する。特許権は出願・審査・登録が必要。

Q2. 知的財産の保護の方法を考える。自社のエンジニアが書いたプログラムのソースコードの表現を、他社の無断の複製から守りたい(手続きは不要)。どれで保護するのが最も適切か。

  1. 営業秘密(不正競争防止法)
  2. 著作権
  3. 特許権
  4. 限定提供データ(不正競争防止法)
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正解:B 著作権

プログラムは著作物として保護される。アイデアや手法そのものは保護されない。(判断の分かれ目:プログラムの表現、無方式)

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7.4不正競争防止法・独占禁止法

不正競争防止法(営業秘密の三要件、限定提供データ)・独占禁止法

概念

不正競争防止法の営業秘密として保護されるには、秘密管理性(秘密として管理されている)・有用性(事業に役立つ)・非公知性(公然と知られていない)の三要件が必要です。限定提供データは、ID・パスワードなどで管理し、特定の相手に提供される大量のデータ(電磁的に管理)で、不正な取得や使用から保護されます。独占禁止法は、データの囲い込みや優越的地位の濫用など、公正な競争を妨げる行為を規制します。

仕組み・手順

  1. 重要なデータにアクセス制限と秘密の表示を行い、秘密管理性を確保する
  2. 外部に提供するデータは契約と ID 管理で限定提供データとして管理する
  3. 取引先へのデータの提供の要求が優越的地位の濫用に当たらないか確認する

業務での例

学習用のデータを「社外秘」と表示し、アクセスできる社員を限定して記録を取ることで、営業秘密として保護されるようにする。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 知的財産の保護の方法を考える。会員企業に ID とパスワードで提供している、秘密ではないが価値のある大量の気象データを、不正な取得から守りたい。どれで保護するのが最も適切か。

  1. 著作権
  2. 限定提供データ(不正競争防止法)
  3. データベースの著作物
  4. 営業秘密(不正競争防止法)
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正解:B 限定提供データ(不正競争防止法)

限定提供データは 2018 年の改正で導入された。秘密として管理されていないデータも対象。(判断の分かれ目:特定の相手に電磁的に管理して提供するデータ) 【他の選択肢】営業秘密は秘密として管理されている必要がある。気象データそのものは事実で著作物ではなく、データベースの著作物は情報の選択や体系的な構成に創作性が必要。

Q2. 営業秘密として不正競争防止法で保護されるための三要件の組み合わせとして正しいものはどれか。

  1. 創作性・表現性・独自性
  2. 新規性・進歩性・産業上の利用可能性
  3. 秘密管理性・新規性・創作性
  4. 秘密管理性・有用性・非公知性
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正解:D 秘密管理性・有用性・非公知性

新規性・進歩性は特許の要件、創作性は著作物の要件。

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7.5AI 開発委託契約

AI 開発委託契約(AI・データの利用に関する契約ガイドライン、探索的段階型、NDA、準委任契約・請負契約)

概念

経済産業省の「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」は、AI の開発は事前に成果を保証しにくいため、アセスメント → PoC → 開発 → 追加学習と段階ごとに契約する「探索的段階型」の進め方を示しています。最初に NDA(秘密保持契約)を結びます。準委任契約は作業の遂行に対価を払い、完成の義務を負わない契約、請負契約は仕事の完成に対価を払う契約です。AI の開発では、性能の不確実性から準委任契約が適するとされる段階が多いです。学習済みモデルや生成物の権利・利用の条件も契約で定めます。

仕組み・手順

  1. 段階ごとに目的と成果物を決めて契約する
  2. 不確実性の高い段階は準委任契約を検討する
  3. 学習用データ・学習済みモデル・成果物の権利と利用範囲を定める

業務での例

画像検査の AI の開発で、まず PoC を準委任契約で行い、目標の精度を確認できてから開発の段階の契約を結ぶ。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. AI 開発の契約形態を選ぶ。アセスメントの段階で、データを開示する前に、相手が情報を目的外に使ったり漏らしたりしないことを約束させたい。最も適したものはどれか。

  1. 保守契約
  2. 準委任契約
  3. 請負契約
  4. 秘密保持契約(NDA)
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正解:D 秘密保持契約(NDA)

NDA は開示の前に結ぶ。秘密情報の範囲・目的・期間などを定める。(判断の分かれ目:開示する情報の取扱い)

Q2. AI 開発の契約形態を選ぶ。本番の運用の開始後に、障害の対応やモデルの性能の維持を継続的に行ってもらいたい。最も適したものはどれか。

  1. 保守契約
  2. 準委任契約
  3. 請負契約
  4. 秘密保持契約(NDA)
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正解:A 保守契約

保守契約で対応範囲や再学習の扱いを定める。(判断の分かれ目:運用後の継続的な対応)

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7.6AI サービス提供契約

AI サービス提供契約(SaaS、利用規約、データ利用権、精度保証)

概念

AI のサービスを SaaS などで提供する場合、利用規約や契約で、入力データ・出力の権利、提供者が利用者のデータを学習やサービスの改善に使えるか(データ利用権)、精度の保証の有無、責任の範囲(免責)、サービスの停止や変更の条件を定めます。AI の出力は確率的なため、精度を保証しない旨と、利用者の確認の責任を明記することが多いです。

仕組み・手順

  1. 入力データを提供者が学習に使うかどうかを確認・明記する
  2. 精度を保証しない旨と、責任の範囲を定める
  3. 出力の権利と利用の条件を定める

業務での例

法人向けの AI 翻訳サービスで、顧客の入力データを学習に使わないことと、翻訳の正確さを保証しないことを利用規約に明記する。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 日本の企業が、EU 域内の個人向けにオンラインのサービスを提供している。GDPR の扱いとして最も適切なものはどれか。

  1. 日本は十分性認定を受けているため、日本の企業には GDPR の義務がない
  2. EU 域内に拠点がない日本の企業には適用されない
  3. EU 域外の事業者でも、EU 域内の個人に商品やサービスを提供すれば適用されうる
  4. 個人データを EU の域外に移転することは、例外なく禁止される
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正解:C EU 域外の事業者でも、EU 域内の個人に商品やサービスを提供すれば適用されうる

GDPR は域外適用がある。日本は EU から十分性認定を受けており、一定の条件で個人データを移転できる。 【他の選択肢】GDPR には域外適用がある。十分性認定は EU から日本へのデータ移転を認める仕組みで、GDPR の義務をなくすものではない。域外への移転は十分性認定や適切な保護措置があれば可能。

Q2. ソースコードやデータを AI の開発に使う際のライセンスの確認として最も適切なものはどれか。

  1. ライセンスの条件に違反しても、コードを少し書き換えれば問題にならない
  2. インターネットで公開されているコードは、ライセンスにかかわらず自由に商用利用してよい
  3. ライセンスや利用規約の条件(商用利用、表示の義務など)を確認して守る
  4. ライセンスは個人の利用だけに関係し、企業の製品の開発には関係しない
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正解:C ライセンスや利用規約の条件(商用利用、表示の義務など)を確認して守る

ライセンスは著作権者が利用を許諾する条件。GPL のように派生物の公開を求めるものもある。

参考リンク

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