生成AIパスポート · LESSON 3

第3章 AIエージェント19%(当サイト設定) · 6項目

AI エージェントの定義、RAG、エージェントの仕組み、MCP などの外部連携、ツールと活用事例、リスク・安全性・評価を学びます。

3.1AI エージェントとは

AIエージェントとは(定義、ワークフロー型と自律型、自律性のレベル)

概念

AI エージェントは、目標を与えられると、自ら手順を考え、ツールを使って作業を進める AI です。あらかじめ決めた手順の中で LLM を使うワークフロー型と、LLM が次の行動を自分で決める自律型があります。自律性のレベルは、人の指示ごとに動く支援から、人の承認を挟む段階、完全に自律で実行する段階まであります。

仕組み・手順

  1. 作業の手順が決まっているならワークフロー型にする
  2. 手順が状況で変わるなら自律型を検討する
  3. 影響の大きい作業は、人の承認を挟むレベルにする

業務での例

請求書の処理を、受信 → 項目の抽出 → 確認 → 登録のワークフロー型にし、不明な点の問い合わせだけ自律的にメールの下書きを作る。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. AI エージェントと、従来の対話型の生成 AI の違いとして最も適切なものはどれか。

  1. エージェントは目標に向けて計画を立て、ツールを使って行動し、結果を観察して次の行動を決める
  2. エージェントは人の指示を一切受け付けず、常に自分で目標を決める
  3. エージェントは大規模言語モデルを使わず、ルールベースだけで動くので、ツールの実行や外部の連携はできない
  4. エージェントは文章を生成できず、画像の分類だけを行う
答えと解説を見る

正解:A エージェントは目標に向けて計画を立て、ツールを使って行動し、結果を観察して次の行動を決める

エージェントは LLM を中核に、計画・ツールの実行・観察・再計画のループで複数の工程を進める。目標は人が与える。

Q2. AI エージェントが注目される背景として最も適切なものはどれか。

  1. エージェントを使うと、モデルの利用料金がかからず、AI の利用が無料になってきたため
  2. 生成 AI の業務での利用が法律で制限され、代わりにエージェントの利用が求められたため
  3. エージェントは人の確認がなくても誤りを起こさないことが、研究で証明されてきたため
  4. LLM の推論の能力やツールの連携の仕組みが向上し、複数の工程の業務を任せられるようになってきたため
答えと解説を見る

正解:D LLM の推論の能力やツールの連携の仕組みが向上し、複数の工程の業務を任せられるようになってきたため

推論モデル、長いコンテキストウィンドウ、Function Calling・MCP などの発展が背景にある。

参考リンク

3.2RAG

RAG(仕組み、発展形、ユースケース)

概念

RAG(検索拡張生成)は、質問に関連する情報を社内の文書などから検索し、その内容を LLM に渡して回答させる仕組みです。学習していない最新の情報や社内の情報に基づいて答えられ、ハルシネーションを減らし、出典を示せます。発展形として、検索の改善(ハイブリッド検索・再ランキング)や、知識グラフを使う GraphRAG、エージェントが検索を繰り返すエージェント型の RAG があります。

仕組み・手順

  1. 社内の文書を分割(チャンク化)し、埋め込みにしてベクトルデータベースに保存する
  2. 質問に近い文書を検索して、プロンプトに加える
  3. 回答に出典を示し、利用者が確認できるようにする

業務での例

社内規程の Q&A ボットで、規程を RAG で検索して答え、該当する条文へのリンクを表示する。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. 社内の規程について質問に答えるチャットボットが、古い内容や存在しない条文を答える。RAG を導入する理由として最も適切なものはどれか。

  1. 最新の社内の文書を検索して根拠にし、ハルシネーションを減らすため
  2. 入力を暗号化して、社内の文書の漏えいを防ぐため
  3. 社内の規程でモデルを事前学習からやり直し、知識を更新するため
  4. モデルの温度を下げ、回答の表現を安定させるため
答えと解説を見る

正解:A 最新の社内の文書を検索して根拠にし、ハルシネーションを減らすため

RAG は外部の知識を検索してプロンプトに加える。学習のやり直しが不要で、情報の更新も文書の差し替えで済む。 【他の選択肢】事前学習のやり直しは費用が大きく、更新のたびに必要。温度の調整は根拠を与えない。暗号化は RAG の目的ではない。

Q2. RAG でのチャンク分割の説明として最も適切なものはどれか。

  1. 利用者の質問を単語ごとに分け、それぞれの単語について順番に回答させること。細かいほど正確になる
  2. 回答の文章を画面に収まる長さで区切って表示すること。短く区切るほど回答の精度が上がる
  3. 文書を検索しやすい適切な大きさの単位に分けること。大きすぎても小さすぎても検索の精度が下がる
  4. 文書を部署ごとに分けて別々のサーバーに保存すること。保存先が多いほど検索の精度が上がる
答えと解説を見る

正解:C 文書を検索しやすい適切な大きさの単位に分けること。大きすぎても小さすぎても検索の精度が下がる

チャンクが大きすぎると関係ない内容が混ざり、小さすぎると文脈が失われる。見出しの単位や重なりを持たせるなどの工夫がある。

参考リンク

3.3AI エージェントの仕組み

AIエージェントの仕組み(タスク分解と計画、ツール実行、メモリ、コンテキストエンジニアリング、フィードバックループ)

概念

エージェントは、目標を小さなタスクに分解して計画を立て、ツール(検索・計算・API)を実行し、結果を観察して次の行動を決めます(フィードバックループ)。メモリには、会話中の短期の記憶と、会話をまたぐ長期の記憶があります。コンテキストエンジニアリングは、LLM に渡す情報(指示・履歴・検索結果・ツールの結果)を適切に選んで組み立てる技術です。

仕組み・手順

  1. 目標をタスクに分解する
  2. 必要なツールを呼び出し、結果を確認する
  3. 結果を踏まえて計画を修正し、目標に達するまで繰り返す

業務での例

出張の手配のエージェントが、日程の確認 → 交通の検索 → 規程の確認 → 予約の案の作成、と順に進め、規程違反があれば別の案を探す。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. AI エージェントの「短期メモリ」と「長期メモリ」の説明として最も適切なものはどれか。

  1. 短期メモリは今の会話や作業の文脈、長期メモリは過去のやり取りや利用者の情報などを保存して後で使うもの
  2. 短期メモリは GPU のメモリ、長期メモリはハードディスクのことだけを指す
  3. 短期メモリは利用者が覚えておく内容、長期メモリは管理者が覚えておく内容のように、覚える人で分けたもの
  4. 短期メモリは 1 日、長期メモリは 1 年で自動的に消える決まりのもの
答えと解説を見る

正解:A 短期メモリは今の会話や作業の文脈、長期メモリは過去のやり取りや利用者の情報などを保存して後で使うもの

エージェントは必要な情報をコンテキストに入れて使う。何をどこまで保存し、いつ使うかの設計がコンテキスト管理。

Q2. 社内の問い合わせに答えるエージェントの精度が、会話が長くなると下がる。コンテキストエンジニアリングの観点で最も適切な対策はどれか。

  1. コンテキストウィンドウの大きいモデルに替え、会話の履歴をすべて入れ続ける
  2. プロンプトの言い回しを工夫し、より丁寧な表現で指示する
  3. 社内の文書でモデルを追加学習し、知識を重みに覚えさせる
  4. タスクに必要な指示・資料・履歴・ツールの結果を選んで、コンテキストに入れる
答えと解説を見る

正解:D タスクに必要な指示・資料・履歴・ツールの結果を選んで、コンテキストに入れる

コンテキストウィンドウには上限があり、不要な情報は精度を下げる。何を入れるかの設計が性能を左右する。 【他の選択肢】すべての履歴を入れると不要な情報で精度が下がる。言い回しだけでは入れる情報の問題を解決しない。追加学習はコンテキストの設計とは別の手段。

参考リンク

3.4MCP・Agent Skills と外部連携

MCP・Agent Skills と外部連携(MCP、A2A、マルチエージェント)

概念

MCP(Model Context Protocol)は、AI アプリと外部のツール・データをつなぐための標準の仕組みで、一度 MCP サーバーを作れば多くの AI アプリから使えます。A2A(Agent2Agent)は、異なるエージェントどうしが連携するための仕組みです。Agent Skills は、エージェントに特定の作業の手順や知識をまとめて与える仕組みです。マルチエージェントは、役割の異なる複数のエージェントが協力する構成です。

仕組み・手順

  1. 社内のシステムを MCP サーバーとして公開し、AI アプリから使えるようにする
  2. 役割の異なるエージェントの連携には A2A やマルチエージェントの構成を使う
  3. 接続するツールの権限を最小限にする

業務での例

営業支援のエージェントが MCP で CRM のデータを参照し、見積もりの作成は別の専門のエージェントに A2A で依頼する。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. マルチエージェントの説明として最も適切なものはどれか。

  1. 複数のモデルの重みを足し合わせて、1 つのモデルにすることで、性能を上げる方法
  2. 役割の異なる複数のエージェントが分担・連携してタスクを進める構成
  3. 1 つのエージェントを、複数の利用者が同時に使うこと
  4. エージェントの画面を、複数のディスプレイに表示すること
答えと解説を見る

正解:B 役割の異なる複数のエージェントが分担・連携してタスクを進める構成

調査役・執筆役・レビュー役のように分担する。サブエージェントに作業を任せる構成もある。

Q2. MCP について述べたものとして適切でないものはどれか。

  1. AI アプリと外部のツールやデータソースをつなぐ共通の規格であると位置づけられている
  2. MCP サーバーにつなげば、アクセス権限の設定をしなくても安全に使える
  3. 接続先ごとに、どの操作を許可するかの権限管理が重要になる
  4. 一度 MCP サーバーを作れば、対応する複数の AI アプリから使える
答えと解説を見る

正解:B MCP サーバーにつなげば、アクセス権限の設定をしなくても安全に使える

MCP は接続を標準化するが、安全性は権限管理と接続先の信頼性に依存する。

参考リンク

3.5AI エージェントのツールと活用事例

AIエージェントのツールと活用事例(コーディングエージェント、ブラウザ操作、ディープリサーチ)

概念

代表的な活用には、コードの作成・修正・テストを行うコーディングエージェント、Web ブラウザを操作して入力や情報収集を行うブラウザ操作のエージェント、多数の情報源を調べてレポートにまとめるディープリサーチがあります。

仕組み・手順

  1. 定型の調査や開発の作業から試す
  2. エージェントの作業の結果は人が確認する
  3. 操作の範囲(アクセスしてよいサイト・リポジトリ)を限定する

業務での例

市場調査で、ディープリサーチに競合 5 社の公開情報をまとめさせ、担当者が出典を確認してから報告書に使う。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. コーディングエージェントの品質を上げるため、テストの自動実行・使えるツール・権限の範囲を整えた。この取り組みを何と呼ぶか。

  1. ヒューマン・イン・ザ・ループ
  2. プロンプトエンジニアリング
  3. ハーネスエンジニアリング
  4. ファインチューニング
答えと解説を見る

正解:C ハーネスエンジニアリング

コーディングエージェントなどでは、テストの自動実行や権限の制御などの「動かす仕組み」の設計が品質を左右する。 【他の選択肢】プロンプトエンジニアリングは指示の文章の工夫。ファインチューニングはモデルの追加学習。ヒューマン・イン・ザ・ループは人の確認を組み込むことで、実行環境の整備全体を指さない。

Q2. ディープリサーチの説明として最も適切なものはどれか。

  1. エージェントが複数の情報源を横断して検索・読解し、出典付きの調査レポートにまとめる機能
  2. 社内のデータベースの古いデータを深い階層までさかのぼって探し出し、削除する機能
  3. 画像の奥行きを推定して、平面の写真から立体的な画像や 3D モデルを作る機能
  4. 指定した 1 つの Web ページだけを、時間をかけて繰り返し読み込んで要約する機能
答えと解説を見る

正解:A エージェントが複数の情報源を横断して検索・読解し、出典付きの調査レポートにまとめる機能

ディープリサーチは調査を自動化するが、出典が一次情報か、内容が正しいかを人が確認する必要がある。

参考リンク

3.6AI エージェントのリスク・安全性・評価

AIエージェントのリスク・安全性・評価(最小権限、プロンプトインジェクション、Human-in-the-Loop、Eval)

概念

エージェントのリスクには、誤った操作、権限の悪用、プロンプトインジェクション(外部の文書などに紛れた指示で動作が乗っ取られる)、情報漏洩があります。対策は、最小権限(必要な操作だけ許可)、Human-in-the-Loop(重要な操作の前に人が確認・承認)、操作の記録、そして評価(Eval:テストのシナリオで品質と安全性を測る)です。

仕組み・手順

  1. エージェントに与える権限を必要最小限にする
  2. 送金・削除・外部への送信などの前に人の承認を入れる
  3. テストのシナリオで定期的に評価し、操作のログを監視する

業務での例

経理のエージェントは請求書の登録まではできるが、支払いの実行は担当者の承認がないとできないようにする。

紛らわしい点・試験の注意

ミニクイズ

Q1. エージェントがファイルの変換でエラーになった後、別の方法で処理を完了した。この動きを支える仕組みとして最も適切なものはどれか。

  1. 利用者の評価をもとに、モデルをその場で再学習する仕組み
  2. 推論・行動・結果の観察・計画の立て直しを繰り返すループ
  3. エラーが出ても、同じ処理を決められた回数繰り返す設定
  4. すべての手順を事前に固定し、順に実行するワークフロー
答えと解説を見る

正解:B 推論・行動・結果の観察・計画の立て直しを繰り返すループ

観察 → 再計画のループにより、途中で失敗しても別の方法を試せる。 【他の選択肢】同じ処理の繰り返しでは別の方法を試せない。その場での再学習は行わない。固定のワークフローは結果に応じて計画を変えない。

Q2. 業務へのエージェントの導入の進め方として最も適切なものはどれか。

  1. 全社の全業務に一斉に導入し、問題が出た業務から止める
  2. 担当者の役割の見直しは不要で、業務の流れも変えずに導入することで、現場の負担を減らす
  3. 効果が出るまで、評価やモニタリングは行わない
  4. 影響の小さい定型業務から小さく試し、効果とリスクを評価してから範囲を広げる
答えと解説を見る

正解:D 影響の小さい定型業務から小さく試し、効果とリスクを評価してから範囲を広げる

小さく始めて評価し、役割分担と承認の流れを設計しながら広げるのが一般的。

参考リンク

レッスンは当サイトが各試験実施団体の公開ページとシラバスをもとに独自に作成したもので、試験の内容を保証するものではありません。製品の仕様は変わることがあるため、参考リンク先の最新情報を確認してください。

ご利用上の注意(非公式・独自問題・合格保証なし)