AIF-C01 · LESSON 3
基盤モデルの応用28% · 4項目
基盤モデルを使うアプリの設計、プロンプトエンジニアリング、学習とファインチューニング、性能の評価を学びます。
3.1基盤モデルを使うアプリの設計上の考慮事項
3.1 基盤モデル (FM) を使用するアプリケーションの設計上の考慮事項を説明する。
概念
モデルの選択は、コスト・レイテンシ・モダリティ・対応言語・コンテキストの長さ・カスタマイズの可否で行います。推論パラメータの temperature・top-p は出力のランダムさ、最大トークン数は出力の長さを制御します。社内の知識を使うには RAG(Bedrock ナレッジベースとベクトルストア:OpenSearch Serverless・Aurora・S3 Vectors など)、複数の手順の作業には Bedrock エージェントを使います。
仕組み・手順
- 用途の要件(精度・速度・コスト・言語)からモデルを選ぶ
- 用途に合わせて temperature などの推論パラメータを決める
- 社内データで答えるなら RAG(ナレッジベース)を使う
- API の呼び出しなど複数の手順が必要ならエージェントを使う
- カスタマイズの方法(プロンプト → RAG → ファインチューニング → 事前学習)をコストの低い順に検討する
業務での例
社内の規程の Q&A で、規程を S3 に置いて Bedrock ナレッジベースに取り込み、temperature を低くして、出典付きで答えさせる。
紛らわしい点・試験の注意
- temperature を上げると創造的だが、一貫性が下がる
- RAG は知識の追加、ファインチューニングは振る舞いや形式の適応
- ベクトルストアには埋め込みを保存し、意味の近い文書を検索する
ミニクイズ
Q1. RAG(検索拡張生成)の説明として、最も適切なものはどれか。
- モデルの回答を検索エンジンに登録し、社外の人が検索できるようにするための方法
- 同じ質問をモデルに何度も繰り返し送って、最も多く出た回答を正しい答えとして選ぶための方法のこと
- 社内の文書を使って、基盤モデルのパラメータを一から学習し直すための方法のこと
- 質問に関係する文書を検索してプロンプトに加え、その内容に基づいてモデルに回答させる方法
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正解:D 質問に関係する文書を検索してプロンプトに加え、その内容に基づいてモデルに回答させる方法
RAG は、外部の知識を検索してプロンプトに加えることで、モデルが学習していない最新の情報や社内の情報に基づいて回答できるようにする。
Q2. 社内の手順書は頻繁に更新される。ファインチューニングと比べた RAG の利点として、最も適切なものはどれか。
- 文書を更新すれば再学習なしで反映でき、回答の根拠の文書も示せる
- 検索が要らないため、応答の遅延がファインチューニングより小さい
- モデルが手順書の文体を覚え、回答の口調がそろう
- 入力のトークン数が減り、1 回あたりの費用が下がる
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正解:A 文書を更新すれば再学習なしで反映でき、回答の根拠の文書も示せる
RAG は再学習が不要で、情報の更新に強い。引用元を示せるので、回答を確かめやすい。ハルシネーションを減らせるがゼロにはならない。 【他の選択肢】RAG は検索を行い、遅延は増えることがある。文体をそろえるのはファインチューニングの利点。検索の結果を入れるため入力のトークンは増える。
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3.2効果的なプロンプトエンジニアリング
3.2 効果的なプロンプトエンジニアリング手法を選択する。
概念
プロンプトは、指示・文脈・入力データ・出力の形式で構成します。手法には、ゼロショット(例なし)、フューショット(いくつかの例を示す)、思考の連鎖(Chain-of-Thought:段階的に考えさせる)、プロンプトテンプレートがあります。否定のプロンプト(してほしくないこと)も使えます。リスクとして、プロンプトインジェクション・ジェイルブレイク・プロンプトの漏洩があります。
仕組み・手順
- 役割と目的を明確に書く
- 出力の形式(箇条書き・JSON)を指定する
- 難しいタスクにはフューショットの例を加える
- 推論が必要な問題には段階的に考えるよう指示する
- ガードレールで攻撃的なプロンプトを防ぐ
業務での例
問い合わせの分類で、3 つの例(問い合わせと分類)をプロンプトに入れるフューショットにして、分類の精度を上げる。
紛らわしい点・試験の注意
- フューショットは例を「示す」、ファインチューニングは「学習させる」
- プロンプトインジェクションは、入力に紛れ込ませた指示でモデルの動作を変える攻撃
- 指示は具体的なほど良い(曖昧な指示は出力がぶれる)
ミニクイズ
Q1. チャットのアプリで、毎回同じ長いシステムプロンプト(社内のルールと例)をモデルに送っている。費用と応答時間を下げる機能として、最も適したものはどれか。
- システムプロンプトを毎回 2 回ずつ送って、ルールをより強く守らせるようにする
- 毎回別のモデルに送って、一番早く返ってきた回答だけを使うようにしておく
- プロンプトキャッシュを使い、繰り返し送る同じ前半の部分を再利用する
- 温度を最大の値にして、モデルが早く回答を書き終えるように調整しておく
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正解:C プロンプトキャッシュを使い、繰り返し送る同じ前半の部分を再利用する
Bedrock のプロンプトキャッシュは、繰り返し使うプロンプトの前半部分をキャッシュし、入力の処理の費用と応答時間を減らす。
Q2. RAG の仕組みについての説明のうち、正しくないものはどれか。
- 文書は分割され、埋め込みとしてベクトルストアに保存される
- RAG を使うと、検索した社内の文書でモデルのパラメータが毎回更新される
- 検索した断片をプロンプトに加えて、モデルが回答を生成する
- 利用者の質問も埋め込みに変換され、意味の近い文書の断片がベクトルストアから検索される
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正解:B RAG を使うと、検索した社内の文書でモデルのパラメータが毎回更新される
RAG はモデルのパラメータを変更しない。検索した情報をプロンプトに加えるだけ。
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3.3基盤モデルの学習とファインチューニング
3.3 FM のトレーニングとファインチューニングのプロセスを説明する。
概念
基盤モデルの学習の要素は、事前学習(大量のデータで汎用の能力を学ぶ)、ファインチューニング(ラベル付きのデータで特定のタスクに適応)、継続的な事前学習(ラベルなしの専門領域のデータで知識を広げる)です。指示チューニングや、人のフィードバックによる強化学習(RLHF)もあります。Bedrock ではファインチューニング・継続的な事前学習・蒸留でカスタムモデルを作れます。
仕組み・手順
- プロンプトや RAG で要件を満たせないかを先に確認する
- ファインチューニングには、目的のタスクの入力と出力の例を用意する
- 専門用語が多い領域の知識を広げるなら、継続的な事前学習を検討する
- データの品質・量・偏りを確認する
- カスタムモデルを使うにはプロビジョンドスループットが必要な場合がある
業務での例
医療の文書の専門用語に強くするため、ラベルなしの医学文書で継続的な事前学習を行い、その後に要約のタスクでファインチューニングする。
紛らわしい点・試験の注意
- ファインチューニングはラベル付き、継続的な事前学習はラベルなしのデータ
- 事前学習を最初から行うのは非常に高価
- 学習データの品質が低いと、モデルの品質も下がる
ミニクイズ
Q1. RAG のアプリで、正しい答えが文書にあるのに回答に含まれないことが多い。検索の結果を見ると、関係の薄い長い断片が返っている。次に行うべきこととして最も適切なものはどれか。
- 温度を最大の値にして、モデルがより多くの情報を思い出せるように調整しておく
- 文書をすべて削除して、モデルが一般的な知識だけで回答するように切り替えておく
- チャンキングの大きさや方法を見直し、検索の結果が改善したかをテストの質問で確かめる
- 基盤モデルを一から事前学習し直して、すべての文書の内容を覚えさせることにする
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正解:C チャンキングの大きさや方法を見直し、検索の結果が改善したかをテストの質問で確かめる
RAG の品質は検索の品質に左右される。チャンクの大きさ・重なり・分割の方法を調整し、検索の結果を評価して改善する。
Q2. Amazon Bedrock のプロンプト管理でプロンプトのバージョンを作る利点として、最も適切なものはどれか。
- バージョンを作ると、そのプロンプトでは料金が一切かからなくなる
- バージョンを作るたびに、基盤モデルが自動でファインチューニングされる
- バージョンを作ると、プロンプトが一般に公開されて誰でも使えるようになる
- アプリが特定のバージョンを参照でき、問題があれば以前のバージョンに戻せる
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正解:D アプリが特定のバージョンを参照でき、問題があれば以前のバージョンに戻せる
プロンプト管理では、プロンプトの変更をバージョンとして保存し、アプリが使うバージョンを固定したり、戻したりできる。
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3.4基盤モデルの性能の評価
3.4 FM のパフォーマンスを評価する方法を説明する。
概念
評価には、人による評価、ベンチマークのデータセット、自動の指標(ROUGE:要約、BLEU:翻訳、BERTScore:意味の類似)、LLM を審査員にする評価があります。Bedrock のモデル評価は、自動評価・人による評価・LLM による評価、RAG の評価(ナレッジベースの検索と生成)を提供します。最終的にはビジネスの目標(生産性・満足度)を満たすかで判断します。
仕組み・手順
- 評価の目的(品質・安全性・コスト・速度)を決める
- 用途に合う指標を選ぶ(要約は ROUGE、翻訳は BLEU など)
- 代表的なプロンプトのデータセットで複数のモデルを比べる
- 主観的な品質は人による評価や LLM による評価で補う
- ビジネスの KPI で効果を確認する
業務での例
要約の機能で 3 つのモデルを Bedrock のモデル評価で比べ、ROUGE と人の評価の両方で最も良く、コストの低いモデルを選ぶ。
紛らわしい点・試験の注意
- ROUGE は要約、BLEU は翻訳でよく使われる
- 自動の指標だけでは、事実の正確さや有用性を十分に測れない
- ベンチマークの高い点数が、自社の業務での性能を保証するわけではない
ミニクイズ
Q1. プロンプトを修正して本番に反映したところ、回答の品質が下がったという報告が増えた。次に行うべきこととして最も適切なものはどれか。
- プロンプトの変更の履歴を削除して、最初から書き直したことにしておく
- 以前のバージョンのプロンプトに戻し、修正の案はテストの質問で評価してから出し直す
- 問題が起きた理由を調べずに、プロンプトにさらに多くの指示を足して様子を見る
- 利用者に品質が下がったことは伏せて、報告が減るまでそのまま待っておく
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正解:B 以前のバージョンのプロンプトに戻し、修正の案はテストの質問で評価してから出し直す
まず影響を止めるために以前のバージョンに戻す。改善の案は評価用の質問で比べてから反映する。
Q2. RAG のアプリを評価するとき、検索と生成のそれぞれで確認すべきこととして、最も適切なものはどれか。
- ベクトルストアに保存した文書の数だけを確認し、検索の結果は確認しないでおく
- 利用者の数だけを確認し、検索と回答の品質は利用者に判断を任せることにする
- 回答の文字数が十分に長いかどうかだけを確認し、内容の正しさは確認しないでおく
- 検索した文書が質問に関係しているか、回答が検索した内容に忠実で正しいかを確認する
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正解:D 検索した文書が質問に関係しているか、回答が検索した内容に忠実で正しいかを確認する
RAG では、検索の品質(関連性)と生成の品質(忠実さ・正しさ)を分けて評価する。Bedrock では RAG の評価も実行できる。
参考リンク
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